『知識ゼロからのプログラミング学習術 独学で身につけるための9つの学習ステップ』は,プログラミングの学習方法がわかる本です。プログラミングができるようになるためには,まずその学習方法について学ぶことが大切だといいます。
例えば,「外国に行きたいから,外国語を勉強しよう」と思って,がむしゃらに英語を勉強したとします。しかし,実は自分が行きたかった国では英語が通じなかったらどうでしょうか。
プログラミングも同じです。プログラミング言語には,様々な種類があり,何を作りたいか,何ができるようになりたいかによって,学ぶ言語が変わります。やみくもに学習しても,実は自分が作りたいものは作れない言語だった,ということもあります。だからこそ自分が何をしたいのか,何を作りたいのか目標を最初に立てて,それに合った学習法を見つけることが大切なのです。
第4章の「作品別プログラミング学習ルート」は,他の本ではなかなか見られない良質な内容になっています。
目次
プログラミングの学習方法を知りたい人におすすめ
本書は,プログラミングの学習方法を知りたい方におすすめです。漠然と「プログラミングを学習したい」とは思っているものの,「何から始めればいいのかわからない」「そもそも自分は何を作りたかったんだろう」と迷っている方も,本書を読むと,「自分はこれがやりたいからこれをしよう」というものが明確に見えてきます。
『知識ゼロからのプログラミング学習術 独学で身につけるための9つの学習ステップ』の目次
本書の構成は,以下の通りです。
- 第1章:プログラミングがなぜ注目されているのか?
- 第2章:プログラミングって一体なんなのか?
- 第3章:プログラミングができるようになるための9つの学習ステップ
- 第4章:作品別プログラミング学習ルート
- 第5章:テーマ別プログラミング学習法まとめ
- 第6章:プログラミングを楽しく体験してみよう
- 第7章:プログラミングコンテストに参加してみよう
- 第8章:ハッカソンに参加してみよう
第1章,第2章では,そもそもプログラミングとはどのようなものか,なぜ注目されるのかといった基本的なことが学べます。そして,第3章では学習ステップ,第4章ではさらに目的に合わせた学習法が解説されます。この部分が本書の肝といってよいでしょう。さらに,興味がある方はコンテストやハッカソンに参加するのも良いでしょう。
ハッカソンとは,ハック(Hack)とマラソン(Marathon)を合わせた造語。数時間や数日間の期間内にアイデアや成果を競い合うイベント。
プログラミングがなぜ注目されているのか?
もし将来に不安を感じ,技術を身に付けたいと思っているのなら,プログラミングをお勧めする理由として,以下の5点をあげています。
- IT技術者の需要が高まっている
- 世界は機械化している
- プログラミング教育が世界で必修化されている
- 課題を解決するための新しい力が求められている
- プログラミングは自己実現のための最強のツール
インドがITに強い理由として,カースト制度(身分によって就ける職業に成約が課される)があります。そのため,インドの若者たちはIT分野に参入しています。事実,グーグルの最高経営責任者であるサンダー・ピチャイ氏,マイクロソフトの最高経営責任者であるサティア・ナデラ氏はインド出身のITエンジニアとして有名です。
幸いなことに,日本にはカースト制度はありません。しかし日本でも学歴による差はありますし,勉強が不得意だったり,コミュニケーションが苦手だったりすれば就ける職業に成約は課されます。なぜなら,採用担当者はあなたを過去でしか判断できないからです。しかし,プログラミングは実力の世界です。大学を出ているか出ていないか,何の強化が得意かなどは関係ありません。
企業や個人かどうかも関係ないため,技術を身に付けたい方は,プログラミングを考えるのも良いでしょう。
プログラミングができるようになるための9つの学習ステップ
プログラミングができるようになるための9つの学習ステップが紹介されます。
- プログラミングを学ぶ目的を作る
- 自己評価を上げる
- 作りたい目標を決める
- 作りたい物のための知識を得る
- 写経の次は改造して遊ぶ
- 得た知識を組み合わせて作品を作る
- 作品を公開して改善する
- 人に教える
- インターリーブで学習をより効果的にする
インターリーブとは,学習中に関連性はあるが違う何かを混ぜること。
まずは,プログラミングを学ぶ目的を作りましょう。目的とは,なにをつくりたいかです。それによって何を学ぶかもおのずと決まってきます。作りたいものによって学ぶ内容も変わってきます。例えば,Webサイトを作りたいのなら「HTML, CSS, JavaScript」。ゲームを作りたいなら「C#」。AI(人工知能)を作りたいならPython。それぞれプログラミングのための言語です。このように作りたいものによっておすすめの言語が変わってきます。
作りたいものを決めると,次に「何が必要か」がわかるので,自分に足りない知識を学習します。
作品別プログラミング学習ルート
第4章では,作品ごとにおすすめの書籍やWebページの学ぶ順序などのルートが紹介されます。
- Webページを作ろう
- Webアプリケーションを作ろう
- 作業自動化ツールを作ろう
- ゲームを作ろう
- AI(人口知能)を作ろう
- スマホアプリを作ろう
- VR・ARを作ろう
- 暗号資産(仮想通貨)を作ろう
たとえば,AI(人工知能」の場合,「AIで知っておきたい知識」「Pythonを使って作る方法」「AIのおすすめ学習ルート」といった具合です。本書では,それぞれの段階に合った書籍を紹介してくれています。
- Pythonの基礎
- アルゴリズムを学ぶために
- 実装と理論を学ぶために
- 自然言語処理を学ぶために
- 機械学習理論からしっかり学ぶために
- 実際のアプリを作るために
紹介されている書籍は,執筆時点のものなので,そこから自分なりに情報をアップデートするのも良いでしょう。また,それぞれの段階ではなく,体系的に学びたい場合は,プログラミングスクールなどを活用する方法もあります。このあたりは,個人の好みもあるので,自分に合った方法を選ぶとよいでしょう。
また,本格的に機械学習エンジニア(≒AIエンジニア)を目指しているという方は,Team AIさんの『機械学習エンジニアになりたい人のための本』も参考になるでしょう。
2021.07.23
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著者について
『知識ゼロからのプログラミング学習術 独学で身につけるための9つの学習ステップ』の著者は,北村 拓也さんです。これまで40以上の作品を作り、代表アプリは GooglePlay 新着有料ゲームランキング 4 位、ゲーム投稿サイト Plicy ランキング 1 位を記録しました。現在は「洗脳的教育からの解放」 を人生目標とし、主に教育の分野で活動中です。
YouTubeでは,プログラミングの可能性や、ものづくりを目指す中学生へのメッセージを語っています。
まとめ
本書は,プログラミング未経験の方が稼げるエンジニアになる道筋を知るための本です。
リカレント教育(学び直し)が定着してきた今,未経験から始めるのに遅すぎることはありません。プログラミング未経験から,新たにITエンジニアとしての一歩を踏み出してみてください。
書名 | 知識ゼロからのプログラミング学習術 独学で身につけるための9つの学習ステップ |
著者 | 北村 拓也 |
出版社 | 秀和システム |