『文系AI人材になる』4つのステップで「AIを使う」人材を目指す

文系AI人材になる

文系AI人材になる』は,文系がAI人材になるために何からすればいいのかがわかる本です。

ほんの少し前までのAIの世界は,理数系や技術系の「理系AI人材」が引っ張っていました。しかし,AI技術が一般化し,誰もがAIを気軽に扱えるようになった今,「AIをどう作るか?」よりも,「AIをどう使いこなすのか?」のほうが大きな課題になりつつあります。

そこで重要になるのが,ビジネスの現場も知っている文系AI人材なのです。

著者は,「AIはExcelくらい誰もが使うツール」となるといいます。このように捉えると,「AI」に対して,「将来自分の仕事を奪うもの」という敵対心がなくなり,活用するイメージが湧きやすいと思います。

AIにコンプレックスを感じている文系の人におすすめ

本書は,著者の言葉を借りると,「AI社会になって職を失わないか不安」,「文系がAI人材になるには何からすればいいの」と不安や疑問に思っている方におすすめです。

本書は3つのルールで書かれています。

  1. プログラミングや統計・数理的なことの中身に触れない
  2. AIの専門用語を極力使わない
  3. できるだけ多くの事例を入れる

かと言って,内容が薄いわけではなく,自分がどのようにすれば良いかはわかるので,安心しましょう。

『文系AI人材になる』の目次

本書の構成は,以下の通りです。

  • 第1章:AI社会で職を失わないために
  • 第2章:文系のためのAIキャリア
  • 第3章:AIのキホンは丸暗記で済ます
  • 第4章:AIの作り方をザックリ理解する
  • 第5章:AI企画力を磨く
  • 第6章:AI事例をトコトン知る
  • 第7章:文系AI人材が社会を変える

第1章で,AIを取り巻く現状について知り,第2章で,文系AI人材となるためにどのようにれば良いかを把握します。そして,第3章〜第6章では,その具体的な方法や事例を学んでいきます。

「AI人材」の2つの道

本書では,「文系AI人材」という表現が使われていますが,一般的に「AI人材」というと,2つに分かれます。

  • データサイエンティストなどの専門職
  • AIを活用する職

ひとつめは,データサイエンティストやAIビジネスデザイナーなど,「AI」といったときに思い浮かべる専門職に就いている人です。もうひとつは,今いる会社や職種でAIを活用する人です。本書は後者が該当します。

「AI人材」の2つの道については,石角友愛(パロアルトインサイト社)さんの著書『“経験ゼロ”から始める AI時代の新キャリアデザイン』が詳しいので,そちらを参照するとよいでしょう。

「AI失職」を恐れず「AI職」に就く準備を

「AIによってなくなる仕事はたくさんある」ということは,もう変えようのない事実です。この事実に目を背けず,まずは素直に受け入れましょう。(中略)

人間がAIに勝つ,負けるというスタンスでいるよりも,AIと共に働くスタンスに切り替えるのです。

AIによって仕事がなくなったら,「新時代の新しい職種にチェンジ」すればいいんです。

本書では,新しい職種として以下のものを例にあげています。

  • 冷蔵庫ができて,氷屋さんが仕事を失う。そして,電気屋さんの仕事が生まれる。
  • 車ができて,御者が仕事を失う。そして,運転手や車販売の仕事が生まれる。
  • ITが普及して,書類整理をする事務職が仕事を失う。そしてIT関連の仕事が生まれる。

一番リスクが高いのは

AI失職を恐れ今の仕事に執着しすぎて,身動きが取れなくなることです。

「日本人は世界の他の国の人と比べて,よりAIの不安を抱いている」といいます。

  • 世界平均:62%
  • 日本:22%

参考:「AIが私の仕事にポジティブな影響をもたらす」アクセンチュア調査

「AI失職」についての,漠然とした恐怖や不安から脱するために,まずは一歩を踏み出しましょう。その一歩とは,AIのことをもっと知り始めるということです。AIをよく知れば恐怖がなくなるどころか,AIを使いこなす側になることができます。AIを知ることこそ,「AI失職」から解放され,AIを使いこなす「AI職」の道への第一歩なのです。

本書では,『孫子』の「彼を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず」の言葉を引用しています。

  • AIを知らなければ,恐怖が増幅する
  • AIを知れば,怖さも消え使いこなせるようになる

人間は「未知」のものに対して,畏怖を覚えるものです。そして,それを隠すように反発します。まずは,AIを知ることで怖さを取り払い,使いこなすことを目標に一歩を踏み出してみましょう。

「文系AI人材」になるための4つのステップ

第2章では,「文系AI人材」になるための4つのステップが紹介されます。

  • STEP1:AIのキホンを丸暗記する
  • STEP2:AIの作り方をザックリ理解する
  • STEP3:AI企画力を磨く
  • STEP4:AI事例をトコトン知る

AIのキホンを丸暗記するについて,具体的なことは第3章で解説されますが,「AI,機械学習,ディープラーニング」の違いについて,それぞれ「武士,徳川家の武将,徳川家康の違いと同じ」とあり,素晴らしかったです(笑)。

「AIは一番広い意味を持っている言葉で,その中に「機械学習」が含まれます。また,機械学習のひとつとして,「ディープラーニング」がいるわけです。ただ,この「ディープラーニング」が特別な存在であったから機械学習が脚光を浴び,AIの世界がこの数年,急速に発達したのです。

このように,難しい言葉を極力使わず理解できるのが,本書の良いところのひとつです。

また,第6章ではAI活用事例(業種別×活用タイプの45事例)が紹介されるので,現在その業種で働いている方は具体的なイメージを持ちやすいでしょう。

著者について

『文系AI人材になる』の著者は,野口 竜司(のぐち・りゅうじ)さんです。ZOZOテクノロジーズVP of AI driven business,アラタナ取締役。自身も「文系AI人材」として、さまざまなAIプロジェクトを推進しています。

まとめ

本書は,AI人材になりたい文系の人が読みたい一冊です。著者の野口 竜司さんも「文系AI人材」だといいます。

これからの本格的なAI社会では,「AIを作る」専門家だけでなく,AIのことをよく理解し,的確に「AIを使う」人材も重要なポジションを担うことになります。特に社会経験が豊富で,難しい局面も乗り越えてきたタフさをもった文系人材がAIネイティブになった際の推進力ははかり知れないものがあるでしょう。

文系だからといってコンプレックスを感じる必要はなく,かといってAIを敵視することもせず,AIを使える人材として活躍できるよう,一歩を踏み出してみましょう。

書名 文系AI人材になる
著者 野口 竜司
出版社 東洋経済新報社

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